韓国で、多喜二に熱い視線

いま、韓国で多喜二が話題になっています。一つには、伊豆利彦著『戦争と文学―いま、小林多喜二を読む』(本の泉社)が、白樺文学館の出版助成を受けて、この10月、金正勲・全南科学大学教授の手でハングルに翻訳されたこと。これに関連して10月13日には、著者の伊豆利彦教授が、韓国日本語文学会(金鉉煬会長)に招かれ、全州大学(全州市)で「帝国主義と文学」と題して講演し、小林多喜二文学の果たした役割を語り、関心を広げたこと。

第二には、茶谷十六・日本民族芸術研究所理事長が、白樺文学館多喜二ライブラリー主催の「小林多喜二国際シンポジウム」で紹介された、1987年に釜山で出版されたハングル版「蟹工船」の翻訳者李貴源氏と初めて連絡し、そのエピソードを発掘したことによります。

これらが刺激となり、多喜二の生誕の地・秋田で2008年2月16日(秋田市)、17日(大館市)の日程で開催の「秋田多喜二祭」には、同氏とともに出版に携わったチング出版社社長も招いてパネルディスカッションやツアーを行うこと、2月22日には神奈川・横浜情報文化センターホールでの映画『時代を撃て・多喜二』上映記念に、伊豆利彦氏の講演が予定されているほか、3月15日の日本民主主義文学会主催「小林多喜二没後75年記念 多喜二の文学を語る集い」には、朴眞秀・キョンウォン大学教授が招かれることなどが決まった。

こうした取り組みを通じ、多喜二と朝鮮半島との絆がさらに強められることとなりそうだ。

また、茶谷氏は今月初め韓国を訪問し、今後の韓国での多喜二顕彰を主眼において、以下のように、金正勲・全南科学大学日本文化研究所と文化交流協定を締結したことは注目にあたいする。

以下は、全南科学大学のプレスリリースよりの紹介。

全南科学大学日本文化研究所、日本の民族芸術研究所と協定

全南科学大学日本文化研究所(金正勲教授)と日本民族芸術研究所(茶谷十六理事長)が11月4日全南科学大学セミナ室で文化交流協定を締結した。

主な協定内容は、韓日文化交流活性化のための緊密な協力と情報共有、講演とシンポジウムを通じての学術交流拡大、図書支援及び必要な資料交換、文化交流事業の共同開発など。

民族芸術研究所は、秋田県千北市に位置した由緒ある研究機関。1974年民族芸術専門の研究機関(財団法人)として設立された。研究所の図書館には日本の文化、歴史関連の書籍だけではなく、音楽、演劇、舞踊などの芸能領域に至るまで各分野の図書4万冊が所蔵されている。

協定締結の契機は、全南科学大学日本文化研究所で最近日本の白樺文学館から出版助成を受け、日本文学研究の権威者伊豆利彦氏(横浜市立大学名誉教授)の著書『戦争と文学』(J&C)を翻訳、出版しているが、その便りに接した民族芸術研究所の理事長が光州を訪れ、交流が進捗したからである。日本文化研究所では今年の夏『靖国神社とその現住所』(学士院)を翻訳、国内に紹介するなど韓日文化交流に積極的に取り組んできた。

日本文化研究所所属の納谷昌宏(三重中京大学教授)研究員は、「日本にいるので、協定に参加できないが、秋田県と全南地域に新たな韓日文化交流の橋をかける意味あることだ」と評価した。

続いて朴勝源研究員は、「日本の優秀な研究所と協定を締結することになり嬉しい。韓日文化交流に弾みがつくと思う」と述べた。一方洪豆標研究員は、「韓流が根を降ろしてから最近日本人も韓国の位相を改めて認識し、韓国文化をありのまま理解しようとする」と付け加えた。

報道資料出典:全南科学大学

以下は、上記を配信したネットニュースのリンク集。

(2007.11.15 佐藤)

[2007/11/15]

白樺文学館 - 小林多喜二の書簡 常時展示中

時代を撃て・多喜二