「一九二八年三月十五日」研究論文リスト

●『戦旗』(28年11月号)蔵原惟人「『一九二八年三月十五日』について」

●『読売新聞』(12/4) 勝本清一郎「前衛線に於ける作家たち―三・一五について」

●『都新聞』(12/2) 神近市子「文芸時評」

●『都新聞』(28/12/17) 蔵原惟人「プロレタリア文芸の画期的作品―小林多喜二の『一九二八年三月十五日』―」=「本年度に現れた創作の中で最も注目に値するものの一つとして私は小林多喜二の小説『一九二八年三月十五日』を挙げる。この作についてはすでに、平林、勝本等の諸君が書いているが…

●『改造』(29年1月号) 鹿地亘「最近のプロレタリア文学と新作家」=「小林多喜二の小説『一九二八年三月十五日』は極めて重大な意義をもっている。これはわが国プロレタリアートにとって最も近い問題―三月十五日のいわゆる共産党事件を取り扱っている。これまでこの同じ事件を取り扱ったものには、左翼の若い作家の二、三の作品があったが、この事件を小さいエピソードとしてではなしに、一つの大きい時代的なスケールの中に取り扱ったものは、この作が初めてである。この作には、北海道における共産党事件の検挙を中心として、闘士たちの種々なるタイプとその生活が描かれている。が、それがこれまでしばしばあったように概念的ではなく、また英雄としてではなくして、その種々なる欠点と長所とをもった人間として描かれている、――この点においてもこの作はこの種の題材を取り扱った作品の一つの進展を示している」

●[中国]夏衍は1930年2月に発行した『拓荒者』第二期(《小林多喜二的“一九二八年三月十五日”》,沈端先,《拓荒者》第1卷第2期)で、小林多喜二の初期代表作である「一九二八年三月十五日」の創作の時代と背景、テーマ、表現方法及び反動的な社会に触れて出版禁止された理由」を紹介し、「この作は、凶暴で反動的な支配者がいかにこの作品を恐れたかをさらに証明した」、「進んだ司法がいかに反動的役割を果たしたか、牢屋生活がいかに悲惨か、自由が奪われた人々がいかにこの「修養所」で鉄鋼のような意志を鍛えたか」を描いた。また、作者は「いろいろの欠陥はあるにしても、日本プロレタリア文学の発達した歴史から見れば、画期的な作品と言っても過言ではない。第一、この作品は偉大な規模で我が国の革命的労働者の生活を描いた。第二に、死んだ型を描かずに生きた人間を描いた。」という蔵原惟人の評論を借りてこの作品を評した。

●[中国]1930年5月に出版『拓荒者』3、4期合併号(《激流怒涛中的最近的日本普?芸運――?京通?》,建南,《拓荒者》第四五期合刊)に、東京から「建南」という署名で「激流怒涛の中の最近の日本プロ芸術運動」という記事が発表された。=「ナップが成立以来、中心的な機構を設立し、日本プロレタリア芸術運動が長足の進歩を遂げて、労働者と農民を基盤とした革命文化運動になり、文学作品なら、小林多喜二の「蟹工船」、「一九二八年三月十五日」、「不在地主」など一連の優秀な作品が出てきた。芸術上にしろ、イデオロギー上にしろ、最高な地位を占め、民衆の中で強い影響力をもっている」。しかし、「蟹工船」と「一九二八年三月十五日」が発表した当日にすぐ禁止され、その後、「蟹工船」が単独出版として短期間で十回余り出版したが、再び禁止されてしまった。

●[英・ドイツ・フランス]「蟹工船」「一九二八年三月十五日」が国際革命作家同盟機関誌『世界革命文学』ロシア語版第十号に訳載された。抄訳ではあるが前後して、英、ドイツ・モップル出版所、フランス語版に訳載された。

●『一九二八年三月十五日』が、ドイツ・プロレタリア作家同盟との協力で、滞在中の国崎定洞の訳で出版されたが、発売禁止になった。「蟹工船」「工場細胞」も訳されたが、出版されたかどうかはわからない。

●小林多喜二「『一九二八年三月十五日』の経験」(『プロレタリア文学』 3月号)

●[ロシア]小林多喜二『蟹工船、一九二八年三月十五日』(『世界革命文学日本編』収、ロシア語訳 国立文学出版所)

●[ロシア]小林多喜二『蟹工船、一九二八年三月十五日』(『世界革命文学日本編』収、ロシア語訳  ウクラインシキーロビートニク出版所・ハリコフ)

●[アメリカ]小林多喜二『蟹工船』(「一九二八年三月十五日」、「市民のために!」収、英訳 インターナショナル出版社・ニューヨーク、マーティン・ロレンス社・ロンドン)

●蔵原惟人、中野重治編『小林多喜二研究』(解放社 48年)小林多喜二の生涯(手塚 英孝),「一九二八年三月十五日」と「東倶知安行」(瀬沼茂樹)

●蔵原惟人「小林多喜二の現代的意義」 (48年3月7日多喜二祭での講演 『文学前衛』48年11月)=「小林多喜二の現代的意義」―「小林多喜二は共産主義作家として、これらたたかう共産主義者の英雄的行為を描くとともに、当時前衛がもっていたさまざまの弱点や欠陥を批判し、『一九二八年三月十五日』『工場細胞』、『党生活者』などで、当時の最も先進的な、最も理想的な革命家の典型を造形したのである。しかしそのさい彼は当時の共産主義者のおかれていた過酷な現実や非合法運動の当面の必要からくるさまざまの歪みや誤りをも無批判に肯定し、かえってそれを理想化しているようなところがないわけではない。」

●『新日本文学』(52/3)水野明善「『一九二八年三月十五日』とその文学史的位置」

●『小林多喜二全集. 第2巻』 (青木書店53. 青木文庫) =防雪林・一九二八年三月十五日 収録

●多喜二・百合子研究会『年刊多喜二・百合子研究第2集』(河出書房55年)=「一九二八年三月十五日」の描写について(金達寿)

●[中国]楼建南=楼適夷は、(30年代に日本に留学して左翼運動に参加し、ゴリギーの作品を訳した。大衆文芸と革命のために、ゴリギーを学ぶべきと主張すると同時に、日本の文学作品をたくさん翻訳した。その後、秘密運動に参加し、逮捕された。抗日戦争勃発後、中国共産党に所属した『新華日報』(中国共産党が創設した新聞社)の編集者として働いた。新中国成立後、人民出版社で働き、小林多喜二の「蟹工船」や「一九二八年三月十五日」や「安子」などの代表作を訳し、たくさんの評論を発表し、中国で小林多喜二の作品を中国語に訳したことに力を尽くした。さらに彼は、1958年の小林多喜二没後25周年に、『人民日報』に「傑出的革命作家和戦士」(63年2月17日第5版)で、「世界のたくさんの優秀な革命作品が長期的かつ苦しい人民革命闘争に多大な力を与えたと同じく、日本の革命運動に身を投じた友人、とくに、小林多喜二のような私たちに力を与えた抜群な作家を忘れるわけにはいかない。中国と日本の人民は魯迅先生の誓いに忠実に従って共に手を携えて前に歩んでいる。抗日戦争のような残酷な歳月、中国人民が侵略者と戦った時にも、小林多喜二のような烈士が限界を血で洗ったので、両国人民の心も通じ合う。」と評論した。

●『小林多喜二全集. 第2巻』(小林多喜二全集編集委員会.青木書店,59)=一九二八年三月十五日収録

●[中国]楼適夷は「再読<一九二八年三月十五日」(《重読〈一九二八年三月十五日〉》――記念小林多喜二殉難三十周年、『文芸報』63年3月)の中で、「作者の意図のように、これはますますファッショ化になっていく日本の反動的な支配の野蛮、凶暴、無恥的なファッショの罪を反映した作品であり、人に驚かせた厳刑の場面から後の抗日戦争における日本軍国主義者が中国の陥落区で行った野蛮な支配、そして、第二次世界大戦におけるファシストの罪を思い出させずにはいられない。ひいては、滅亡に瀕した帝国主義の獣の本性を反映した」、そして「三十年前、作者が革命闘争に身を投じた時、インテリの思想改造の過程、そして、生まれつきの階級敵を持った労働者の革命的質をこれほどふかく、そして、細かく描き出したことに驚かずにはいられない。それに、この作品の日本革命文学史上の輝かしい記念碑の意味を一層理解した」と高く評価した。

●『定本小林多喜二全集 第3巻』(小林多喜二全集編纂委員会.?新日本出版社 68)=一九二八年三月十五日 収録

●『現代日本文学館 第26』小林秀雄.(文芸春秋, 69)葉山嘉樹・小林多喜二 一九二八年三月十五日 収録 解説(久保田正文) 注解・年譜(小田切進)

●臼井吉見編『日本短編文学全集 第31巻』(筑摩書房 68)=小林多喜二編,一九二八年三月十五日.収録

●『小林多喜二読本』(啓隆閣 70年)=小林多喜二の現代的意義(蔵原惟人)/「一九二八年三月十五日」(佐藤静夫)

●『国語と国文学』(75/4)小笠原克「小林多喜二の〈処女作〉―「一九二八年三月十五日」の周圏」

●『全集・現代文学の発見 第3巻』(学芸書林, 76.8)= 一九二八年三月十五日(小林多喜二)収録 解説(平野謙)

●『筑摩現代文学大系 38』(筑摩書房 78.12)=小林多喜二集 一九二八年三月十五日 収録

●『北海道文学全集 第6巻 』(立風書房 80.6)=小林多喜二一九二八年三月十五日.収録 解説 亀井秀雄

●『虚構の中のアイデンティ』(法政大学出版局 98年所収)「初期プロレタリア文学における<虚構>の問題―『防雪林』『一九二八年三月十五日』への転換を中心にして―」

●『小林多喜二全集. 第2巻』(新日本出版社82.6)=小説2 .一九二八年三月十五日収録

●『日本プロレタリア文学集 26』(新日本出版社 87.12)=小林多喜二集. 1 .一九二八年三月十五日 収録 解説 西沢舜一

●[韓国]イ・グィウォン(61年慶南忠武生。釜山大学歴史学科卒業)訳『蟹工船』(「一九二八年三月十五日」「蟹工船」「党生活者」翻訳(87年、釜山(プサン)・チング出版)

●『一九二八年三月十五日・東倶知安行』小林多喜二(新日本出版社 94.11)- (小林多喜二名作ライブラリー  1)

●『近代小説の〈語り〉と〈言説〉』(平成8年6月1日 有精堂)島村輝「〈身体〉の〈語り〉/〈空間〉の〈言説〉――小林多喜二「一九二八年三月十五日」の〈語り〉と〈言説〉」

●『民主文学』(98/2)多喜二没後65周年特集=乙部宗徳「『一九二八年三月十五日』から『地区の人々』へ」

●[韓国]『千里山文学論集』(99/03/13)黄奉模 HwangB 「小林多喜二「一九二八年三月十五日」」「小林多喜二「蟹工船」」

(04/4/25 作成:白樺文学館多喜二ライブラリー 学芸員 佐藤三郎)